八日目: Le Huttieme Jour(1996/仏)

Q90.9 ダウン<Down>症候群,詳細不明

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【staffs】監督 : ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演: ダニエル・オートゥイユ(ハリー)、パスカル・デュケンヌ(ジョルジュ)、ミウ=ミウ(ジュリー)、アンリ・ガルサン(ハリーの会社の重役)
【prises】96年カンヌ国際映画祭最優秀男優賞(ダニエル・オートゥイユ、パスカル・デュケンヌのダブル受賞)
【my appraise】★★★+(3 plus per5)
【prot】
 エリート銀行員のアリーは、仕事仕事の毎日で、別居中の妻だけではなく、子どもたちにも見放されてしまった。そんな、アリーが、ある日ひょんなことから、ダウン症のジョルジュの面倒をみることになってしまう。ジョルジュは施設に入所しているが、何年も前に母が死んだことを理解できず、母親の元に帰ろうとしていたのだ。
 ジョルジュとの交遊で、癒しを見出すアリーだったが、2人には意外な結末が待っていた。
【impression】
 日頃ハリウッド映画や日本のTVの安直な筋立てに慣れていると、フランス映画は、ややごちゃごちゃしたイメージがあります。
 ただ、この映画は、とても分かりやすく、すっきりしたお話で、伝えたいこともすっきりと伝わってくる映画です。
 予想外の結末には異論があるところですが(私も異論があります)、より多くの人を安心させるより、監督が伝えたいメッセージを伝えるということと理解すれば、納得できます。
 下に述べるように、障碍を理解するために優れた映画ということも言えるのでしょうが、それ以前に、映画として、なかなかの水準にあります。
【staffs】
 主人公の一人ジョルジュを演じるのは、パスカル・デュケンヌです。奇跡的なほどに、ダウン症を演じている…と思ったら、実際、ダウン症で障碍者の劇団で活躍している俳優さんとのことです。
 相手のエリート営業マン・ハリーを演じるダニエル・オートゥイユというフランスでは超一流の俳優。
 これらを聞くと、いろんな意味で感心してしまいます。

【welfare point of view】
 ダウン症については、「日本ダウン症ネットワーク」のHPの中の説明「知っておきたいダウン症の医学」をご参照下さい。
 この映画は、ダウン症の方の家族や専門家の方々からみても描写が優れていると評価されているようで、日本ダウン症ネットワークのHPでも『八日目』を特にとりあげて推奨しています。このページで、「本作品はダウン症を持つ青年ジョルジュと猛烈型のビジネスマン、ハリーの関わりを通じて、現代人が忘れかけている大切なものを教えてくれます。それは、私どもダウン症を持つ子どものいる家族やダウン症の子どもたちを援助している専門家が感じていることでもあるのです。」(転載)という表現があります。私は、これが福祉の観点からみた最も適切な評価と思われます。
 障碍を持つ人々、特に知的障碍を持つ人々の場合は、健常者の世界の因循姑息や権謀術数には余り縁がありません。そのこともあって、障碍そのものや、障碍を持つ人々を神聖視する考え方があるようです。ただ、障碍者は、障碍という個性を持った一人の人間であり、言うまでもなく、性欲もあり、健常者と同じように欲望を持つ人間です。したがって、「障碍」を、過度に神聖視することは適切ではないと考える人もいます。私も同様の違和感を感じる方の人間です。
 ただ、障碍をもつ人々と共感できるようになると、健常な人間の持っている世界観そのものが矮小で、そこで起きている摩擦や消耗など下らないように思えてくることはあります。これは、障碍者の方々の持つ世界観が素晴らしいというのではありません。むしろ、障碍を持つことによって、健常な人々が当たり前とすることが当たり前でなくなっているが故に、健常人をインスパイヤするような世界観を持ちえているのではないかと思います。
 このことが、「障碍を1つの「個性」として捉えよう」という発想につながるのでしょう。つまり、障碍を持つ人々への「偏見」を無くすために「個性」として捉えるというより、「特別な人として自分の世界の外に置くのではなく、世界観を共有する」ことが、健常者にとっても得るものが大きいということです。「情けは人のためならず」と言ってしまうと、ちょっと実も蓋もないのですが…。
 この当たりの話は、もっとうまく説明しないと、かえって誤解を招く気もしますが、残念なことに、私の力量を超えていますので、この当たりにしておきます。
 いずれにせよ、こういった意味で、本作品は、障碍や障碍者をテーマにした映画というより、普通といわれている人々の世界の矮小さを、障碍という素材を用いて表現した映画のように思います。
【tilte, subtilte】
 神が6日間で世界を創り、7日目には安息をとられた、という旧約聖書の話を捩ったもの。
 映画の中で、「この世の初めは無だった。あったのは音楽だけ。一日目、神さまは太陽をつくった。二日目、神さまは海をつくった。三日目、神さまはレコードをつくった。四日目、神さまはテレビをつくった。五日目、神さまは草をつくった。六日目、神さまは人間をつくった。日曜日、神さまは休息なさった。ちょうど七日目だった。そして八日目にはジョルジュを創った」と、ユーモラスに語られます。
 なお、このコーナーのトップの原題'Huttieme'は、正しくは後ろから2つめのeにアクサン・グラーブがつきます。
 邦題は直訳です。

【books】
 この映画の多分ノベライズである「八日目」という書籍が出版されていましたが、現在絶版で、入手できません。
【videos, DVDs】
 DVDが発売されていますが、セルオンリー。ビデオのほうは、セル・レンタル共にありますが、レンタルを扱っているショップはそう多くないようです。

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by harufe | 2005-01-01 14:23 | Q00-Q99 先天奇形変形染色体異常


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