ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレHilary and Jackie (1998/UK)

G35 多発性硬化症

【staffs】監督:アナンド・タッカー
出演:エミリー・ワトソン(Jacqueline Du Pre)、ランチェル・グリフィス(Hilary Du Pre)、ジェームズ・フレイン(Daniel Barenboim)、デイヴィッド・モリッセー(Kiffer)、チャールズ・ダンス(Derek Du Pre)、Celia Imrie (Iris Du Pre)
【prises】
第71回アカデミー賞主演女優賞(エミリー・ワトソン)ノミネート、助演女優賞(レイチェル・グリフィス)ノミネート
第56回ゴールデン・グローブ賞女優賞ドラマ部門(エミリー・ワトソン)ノミネート
第52回英国アカデミー賞主演女優賞(エミリー・ワトソン)ノミネート、脚色賞ノミネート、作曲賞(アンソニー・アスクィス映画音楽賞)ノミネート、イギリス作品賞(アレキサンダー・コルダ賞)ノミネート
【my appraise】★★★+(3 plus per5)
【prot】
 60~70年代を疾走した実在の天才女性チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの一生を、ジャクリーヌと姉のヒラリーの双方の視点から描く。
 少女時代から才能に恵まれたジャクリーヌは、天才チェリストとして喝采をあびる一方、エキセントリックな性格で、魅力的な女性。ダニエル・バレンホイムと知り合い、二人は、たちまち恋におち結婚する。しかし、ジャクリーヌは、多発性硬化症に侵され、演奏することもできなくなってしまう…。姉ヒラリーとの間の衝撃的な秘密も明らかにされる…。
【impression】
 一面的な見方かもしれませんが、普通の(といってもやや恵まれた)家族から、卓越した才能を持った子どもが天才として羽ばたくことを描くことにより、家族とは何かという問題をうまく描いているように感じました。ジャクリーヌの不幸も、淡々と描かれていて、かえってリアリティがあるように感じます。

 この映画の原作が、姉と弟の共著によるものだと知ると、このことを世の中につまびらかにせざるをえなかった姉弟の気持ちを考え、少し複雑になりました。なお、この原作や映画については、ジャクリーヌの芸術家の友人達は猛烈に抗議したようです。元夫のダニエル・バレンホイムは沈黙を守っているそうですが。
 いまだにジャクリーヌの芸術は燦然と輝き、特に ロンドン交響楽団と共演したエルガーのチェロコンチェルとでは今でも定番の1枚とされているようです。右の写真はご本人です。

【medical view】
 多発性硬化症は、その原因や治療法が十分解明されていない神経難病の1つです。電気刺激を伝達することにより、神経細胞は機能しており、いわば電線のような役割をしています。電線が絶縁物に覆われているように、神経細胞もミエリンという脂肪質により絶縁されています。このミエリンがなんらかの理由(おそらくは、自己免疫による攻撃)によって破壊されるがこの病気です。このミエリンがどこで壊されるかによって、多彩な症状があらわれます。ジャクリーンのように、運動障害や排尿障害を起こす場合もあれば、視覚障害や痛み、物忘れなどが起きる場合があります。また、病気の経過も様々で、一番多いのが再発と軽快(寛解)を繰り返す方ですが、突然全く症状がなくなる方から、ジャクリーンのように進行していく方(日本ではまれだそうです)までいらっしゃいます。とにかく、不思議な病気で、医師もその経過を予測することはできません。様々な治療が行われますが、根治する治療法はまだ開発されていません。病気の場所が古くなると硬く感じられるようになるので、「硬化症」という名前がつけられています。
 多発性硬化症は欧米の白人に多く、北欧では人口10万人に50人から100人位の患者さんがいます。日本では人口10万人に3~5人程度といわれています。神経難病の中でも決め手となる検査がないため診断が難しく、他の疾患でないことが確認された上でこの病気と診断されます。
 詳細は、多発硬化症の情報提供を目的に多発硬化症の患者さんと家族が設立したNPO法人MSキャビンのページをご参考下さい。
【tilte, subtilte】
 今となっては、原題の”Hilary and Jackie”というタイトルは、大統領夫人みたいですね。英語のタイトルで”○○ and ○○”というのは比較的多いような気がします(単に、” JULES et JIM”“ Bonnie and Clyde”を思い出しただしたのです)が、いずれも、「突然炎のごとく」とか「俺たちに明日はない」とか文章系のタイトルになってしまいます。「タッキー&翼」が人口に膾炙してから変わるでしょうか。
 原作の翻訳「風のジャクリーヌ」じゃあ、だめだったのでしょうか。配給会社の方で、「ジャクリーヌ・デュ・プレ」の名前の方が客を呼べると思ったのでしょうかね。

【books】
ジャクリーヌの姉と弟共著の原作が「風のジャクリーヌ ある真実の物語」として邦訳されています。
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★
 DVDはセルのみ。ビデオがレンタル&セル。レンタルビデオを置いているショップは多くないです。興味のある方は、少々高額ですが、DVDの購入をお勧めします。


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by harufe | 2005-07-11 20:47 | ICD G00-G99神経系の疾患


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