I09.9 リウマチ性心疾患,詳細不明
【staffs】監督・製作・脚本:ケヴィン・スペイシー ケヴィン・スペイシー(ボビー・ダーリン)、ケイト・ボスワース(サンドラ・ディー)、ジョン・グッドマン(スティーヴ・ブラウナー)、ボブ・ホスキンス(チャーリー・マフィア)、ブレンダ・ブレッシン(ボリー・カソート)、ウィリアム・ウルリッチ(少年時代のボビー) 【prises】 ゴールデン・グローブ賞男優賞(コメディ/ミュージカル):ケヴィン・スペイシー)ノミネート 【my appraise】★★★(3 per5) 【prot】 リウマチ熱で心臓に障害を受け、15歳までしか生きられないと告げられた少年ボビー。自分に残された時間が少ないことを意識した彼は、「25歳までに伝説になる」と心に決め、ショービジネスの世界に足を踏み入れる。歌手としてラスベガスで大成功をおさめた彼は、キュートで幼い女優を妻とする。しかし、自分の出生の秘密を知り、ベトナム戦争の中、新しい途を模索始める…。 50~60年代アメリカショービズ界を席巻し、シナトラと並び称されたボビー・ダーリン。彼の短い人生をケビン・スペーシーが、製作・監督・脚本・主演の全てをこなして表現した渾身作。 【impression】 軽快な音楽とダンス、厭きさせない展開、なかなかの力作だとは思います。ただ、どうしても44歳のケヴィン・スペイシーが10代から37歳までのボビー・ダーリンを演ずるのがかなり無理があります。もう10年若い頃に、演じてくれればなあ、という感じですね。 【staffs】(左:Sandra Dee/右:Kate Bosworth) 映画のパンフレットにも書いてありましたが、サンドラ・ディーにケイト・ボスワースをキャスティングするケヴィン・スペイシーのセンスが良いです。ケイト・ボスワースは『モンタナの風に抱かれて』でデビューしたのだそうですが、全く気がつきませんでした。 彼女は、サンドラ・ディーを演じるにあたってのエッセンスは「スクエアであること」だったのだそうです。「50年前の人たちは、今と違ってみんなスクエアでどこか堅苦しいでしょ。表面は何事もないように振る舞っていても、閉ざされた扉の内側では様々なことが起こっていた。それを演じるのが魅力の1つだは。」と語っています。なるほどなあ。ハリウッドの商業主義を非難する人もいますが、このレベルの女優が、これだけのことを考えている底力はすごいものだと感心します。 【medical view】 リウマチ熱は基本的に学童がかかる病気で、溶連菌という細菌に感染し、風邪様の症状(扁桃炎・咽頭炎、猩紅熱など)を示した後、発疹、発熱、鼻血や関節や筋肉の痛み、あるいは心臓障害を起こします。これらは、溶連菌感染による細菌アレルギーと考えられています。ペニシリンによって溶連菌を叩き、炎症に対しては、アスピリンかステロイドを使うという、極めて古典的な対応で治療可能な病気です。一度、リウマチ熱に感染すると急性期を過ぎた後も、心臓内膜の炎症は持続し、心臓弁膜症を引き起こし、最悪ボビー・ダーリンのように死亡します。 現在、先進国では、そもそも子どもの溶連菌に感染が減っていますし、仮に感染してもきちんと治療されればリウマチ熱は予防でき(時々ヤブ医者が見逃すそうですが)、また全く治療を行わなくても、リウマチ熱を発症するのは1%以下ということです。これには、溶連菌自身の性格が変わってきたという説もあるようですが不明です。ところが、発展途上国ではいまだリウマチ熱が大きな問題ですし、リウマチ性弁膜症はいまだに主要死因の1つです。 発展途上国では、①住環境や生活環境が溶連菌感染を起こしやすい、②栄養状態が悪く感染やリウマチ熱発症を起こしやすいということが考えられますが、これまた詳細不明です(以上、主として国立健康・栄養研究所吉池信男先生の論文を参照しました)。ちなみに、最近では、一般的に「リウマチ」という言葉は、慢性関節リウマチの意味で使われていますよね(以前は、関節痛全般をもう少し広く使われていました)。慢性関節リウマチとリウマチ熱は、全く異なる病気です。 いずれにせよ、ボビー・ダーリンが生きた時代は、アメリカも今の発展途上国と余り変わらない状況だったということでしょう。 ところで、もし、ボビー・ダーリンがリウマチ熱でなく、「25歳で伝説になる」という覚悟を決めなかったら、彼の成功はどうだったでしょうか。もちろん、だから、病気だった方が良かったとまでは言うつもりはありませんし、ボビーがリウマチ熱でなかったとしても、彼は成功していたかもしれませんが。 【tilte, subtilte】 the だけをアルファベット表記で残したのは、何かの拘りなんでしょうか。 【books】 【videos, DVDs入手しやすさ】- 近くDVDが発売・レンタルリリースされることと思います。 ↓参考になったら、是非、人気ブログ投票してください↓ (アクセスすると投票したことになります) 人気blogランキングに投票
by harufe
| 2005-07-15 23:28
| ICD I00-I99循環器系の疾患
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全体 ICD A00-B99感染症及び寄生虫症 ICD C00-D48新生物 ICD E00-E90内分泌栄養代謝疾患 ICD F00-F99精神及び行動の障害 ICD G00-G99神経系の疾患 ICD H00-H59眼および付属疾患 ICD H60-H95 耳乳様突起の疾患 ICD I00-I99循環器系の疾患 Q00-Q99 先天奇形変形染色体異常 基礎医学と医療制度 カテゴライズ annotazione
基本的に、お休みの週末に、1~2本、医療と福祉の映画を交互に1つ1つ取り上げ、そのうち、1つのテーマで複数作品を取り上げようと思います。 今のところ、50本程度の映画について書くつもりなので、05年中の完成、自費出版を目指しています。 …と言っていましたが、真面目に書く時間が、ほとんどないので、細く長くの方針に変更しました。 【マイ関連サイト】 医療福祉映画の原作・関連本(セブンアンドワイ) 医療福祉映画のあらすじ(みんなのシネマレビュー) ●goo映画● (情報確認用) ●TSUTAYA online● (愛用者です) 【参考サイト】 映画闘病記(TSUTAYA ONLINE) 実在する特定の病気を主題とした映画の一覧(ウィキペディア) 以前の記事
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