スウィート・ノベンバー (2001/US)

 C85 非ホジキンリンパ腫の詳細不明の型

【staffs】監督:パット・オコナー
出演:キアヌ・リーヴス(Nelson)、シャーリーズ・セロン(Sara)、ジェイソン・アイザックス(Chaz)、グレッグ・ジャーマン(Vince)、リーアム・エイケン(Abner)
【prises】第22回ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)ワースト主演女優賞(シャーリーズ・セロン)ノミネート、ワースト・リメイク・続編賞ノミネート
【my appraise】★★★-(3 minus per5)
【prot】
 サンフランシスコの広告代理店で常にトップを走るネルソンが、ある日、自動車免許の更新試験場で風変わりで魅力的な女性サラに出会う。しかし、試験中にネルソンがサラに話しかけたことにより、サラは1か月免許更新ができなくなり、サラは、半ば強引にネルソンに、11月の1か月間だけの恋人になることを迫る。
 しかし、サラの奇妙な魅力と強引さは、悪性リンパ腫により残された命が短いことを知り、そして、想い出に残ることを意識したものだったのだ。
1968年のロバート・エリス・ミラー監督「今宵かぎりの恋」をリメイク。
【impression】
 残された命が短いことを知った女性が、最愛の男性に出会う、というプロットは、『オータムインニューヨーク』、ちょと古いですが『ラストコンサート』などがあります。残念ながら、いずれも、やや無理のある設定や展開が多く、よほど感情移入できない限り、ついていけない場合が多いように思います。
 この映画でも、ネルソンとサラが知り合う場面-免許更新試験場で試験中にネルソンがサラに話しかける-からして無理を感じました。無理無理な設定や展開と、ハリウッドのメインストリームとは違う繊細さが共存している作品で、嫌いではないのですが。
 ラジー賞は、何もシャリーズ・セロンをノミネートしなくても良いと思うのですが…。
【staffs】
 シャーリーズ・セロン、先頃、『モンスター』で見事オスカーを射止めました。しかし、『モンスター』の演技はすごかった。『サイダーハウスルール』で注目されながら、この映画でラジー賞にノミネートされて女優生命が危機かと思いましたが。
 最近ではサスペンス・アクション物(『モンスター』もそうですが)の出演が多いですが、正統なラブストーリーものでも、相当高い水準の演技ができる俳優さんだと思います。この映画でラジー賞にノミネートされたことが、トラウマになったかもしれませんが。

【medical view】
 若くしてガンで死ぬということは、大変辛いものがあると思いますが、以前、千葉敦子さん(ジャーナリスト。39歳で乳がん発症、自分のがんとの闘いをルポしつづけ、47歳で死亡。)が、「がんになったことで、死に向かってきちんと準備が進められ、より生の意味を明確に意識できるようになった。この意味で、がんになって良かったと思う。」といった趣旨を書いておられ、なるほどな、と思ったことがあります。
 この映画では、設定や展開、あるいは内面が十分描かれていないため、今ひとつリアリティがないのは残念ですが、サラが死を意識し、死ぬまでの期間をどう意味づけしようとしています。生活スタイルを全く変えて、人の心に遺るゲームを楽しむ…という生き方は相当、「強い」生き方だと思います。
 一方で、若くして死を迎えることは本人にとって本当に辛いことですが、残される方の悲しみも計り知れないものがあるでしょう。この映画でも、その当たりをもう少し描けたのではないかと思います。

 さて、サラの病気は、リンパ球のがんである、悪性リンパ腫。悪性リンパ腫といっても、様々な原因と経過があり、おそらく異なる病気の集まりと考えた方が良いようです。ただ、とりあえず、ホジキン病という種類の悪性リンパ腫だけは、1つの疾病単位であることが明確になっており、悪性リンパ腫については、ホジキン病か、非ホジキン病かということが大きな分類となります。もっとも、ホジキン病も、非ホジキン病も、患者側にとては、治療法も経過も、そう大きな違いはあるとはいえません。化学療法が比較的よく効き、寛解(症状は収まるが、再発を繰り返す場合があるため、治癒という表現は使わない)しやすい、放射線療法や骨髄移植が必要な場合がある…というがんです。
 ところで、非ホジキンリンパ腫の中には、ウイルス感染によって起きるものもあります。HTLV(成人T歳病白血病ウイルス)を原因とするリンパ腫がそれであり、感染者は世界に約2000万人以上いるとされています。HTLVには2つの型があるのですが、1型は、日本、特に九州、沖縄、四国に患者が多い原因ウイルスです。このウイルスは、エイズのウイルス(HIV)の仲間で、エイズと同様、極めて感染力の弱いのが特徴です。具体的には、母乳、性交渉(男→女のみ)、輸血によってしか感染しません。また、感染しても発病率が数%以下といわれ、しかも、発病までの潜伏期間は数十年と長いのです。そのため、発症は60~70歳が中心であり、そもそも自分が感染していても、気づいていない人も多いということになります。したがって、自分が感染者かどうか知って、少なくとも、他人に感染させないようにするというのが重要です。詳しくは、STD研究所さんのページを参照下さい。

 実は、エイズがHTLVではないか、あるいは類似のウイルスではないかと考えられた(実際、似たウイルスなのですが)ことが、少なくとも日本の関係者を安心させ(そうなると、血友病治療に比較すると、重要性がかなり低くなるため)、これが、対策を後手に回らせた…という証言があります。きちんとした、資料に書かれていることを読んだことはないのですが、さもありそうな(そして、関係者を責めにくい)ことと思います。このことは、エイズ関係の映画のところで、再度触れたいと思っています(エイズについては、書くべきことも、映画も多く、構成に悩んでいるため、先送りしております)。

 いずれにしても、サラは非ホジキン病の悪性リンパ腫ですが、おそらく、HTLV-1を原因とするものではないでしょうね(単に年齢だけでそう考えているわけですが)。

【tilte, subtilte】
 このタイトル、「オータムインニューヨーク」をどの程度意識したのでしょうね。

【books】
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★★
 DVDがセル・レンタルともにリリースされています。新しい作品ですので、多くのショップに置いてあると思います。

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by harufe | 2005-07-18 12:06 | ICD C00-D48新生物


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