カテゴリ:ICD C00-D48新生物( 12 )

愛と死をみつめて(1964/Jpn)

C41.0 頭蓋骨および顔面骨の悪性新生物

【staffs】監督:斎藤武市、原作:大島みち子/ 河野実
出演:吉永小百合(小島道子)、浜田光夫(高野誠)笠智衆(小島正次)、原恵子(母)、内藤武敏(K先生)、滝沢修(中山仙十郎)、北林谷栄(吉川ハナ)、ミヤコ蝶々(佐竹トシ)、笠置シヅ子(中井スマ)
【prises】(not worth mentioning)
【my appraise】★★★(3 per5)
【prot】
 左顔面に軟骨肉腫を患い闘病生活を送る道子。彼女を支えてくれるのは、暖かい両親と、病院で知り合った誠。しかし、阪大病院に入院する道子と東京の大学に通う誠をつないでくれるのは、手紙と電話だけだ。闘病生活の末、道子は、顔半分が潰れる大手術を余儀なくされるが…。
【impression】
 皮肉なことに、病と純愛はとても愛称が良いようです。それでも、この映画のように実話というのは珍しく、それだけ感慨深いところです。
 この映画の主人公のマコこと、河野実さんは存命中、63歳で、ビジネスコンサルタント、ジャーナリストとして活躍中なのだそうです。週末は野菜づくりに汗を流す日々ということで、少し現実に引き戻されますね。
 興行成績は通常であれば年間1位になる大ヒット(この年の1位の『東京オリンピック』が超ヒット作だったため2位)ですが、映画賞には全く縁がありませんでした。
【staffs】
 年配の方に、「サユリスト」と呼ばれる人たちがいらっしゃいます。この映画を見ると、そのお気持ちが理解できます。知的で、コケットリーと母性を共有する溌剌さは、新しもの好きでいて実は封建的な男の心を惹きつけたのでしょう。
 吉永小百合は、浜田光夫とのペアで、この映画以外でも、「ガラスの中の少女」「キューポラのある街」など、「日活純愛路線」で活躍しました。浜田光夫は、この映画の時点で21歳ですが、もっとおっさんに見えて、興ざめなんです。ただ、昔の大学生はこんなおっさんくさかったのかもしれません。最近、「1リットルの涙」に、主人公亜也の父親役で出演しておられました。

【medical view】
 軟骨肉腫は、中年以降に骨盤や仙骨、背骨に発症することが多いため、道子のような若さでしかも顔面に発症することはとても珍しいといえます。阪大病院で入院治療を受けていたので、おそらく、学会で発表されているのではないでしょうか。悪趣味なので探しませんでしたが。
 軟骨肉腫の進行は遅く、手術により根治できる可能性が高いのですが、化学療法や放射線療法は有効でないため、ひとたび転移・再発が起きると、現在でも、治療は極めて困難ということです。つまり、道子の病気が現在起きたとしても、映画と同様に悲劇的な結末をもたらすということです。
 大変残念なことです。ただ、現在なら、もう少し残された時間を有意義に送ることができるような援助をするのではないかと思います(病気の詳細が分からないのですが、ひょっとしたら、速中性子や重粒子が有効かもしれません)。。
 この映画で、昭和30年代の大学病院の雰囲気がよく分かります。この頃はまだ、大学病院でも、患者自ら炊事をやっていたのですね。
【tilte, subtilte】

【books】
 原作であり、140万部の大ヒットとなった愛の往復書簡「愛と死をみつめて」(大和書房)が最近復刊されています。
 「マコ、泣いてばかりでごめんね」と、青山和子さん歌う同名の歌は日本レコード大賞を受賞したそうです。今では大したことはないですが、当時のレコード大賞は権威があったのです。
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★
 最近、DVD化・レンタルリリースされましたので、比較的入手しやすいと思います。しかし、ミコは映画の中で、軟骨肉腫のため、徹頭徹尾左側を隠しているというのに、どうしてDVDのライナーでは普通にしているんでしょうか?誰も指摘しないものでしょうか。

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by harufe | 2005-08-07 20:28 | ICD C00-D48新生物

マイルーム Marvin’s room. (1996/US)

C92.0 急性骨髄性白血病

【copy】
心の部屋を開けたのは、 まもなく消えるひとつの命。

【staffs】監督:ジェリー・ザックス、製作:スコット・ルーディン / ジェーン・ローゼンタール / ロバート・デ・ニーロ、原作・脚本:スコット・マクファーソン
出演:メリル・ストリープ(Lee)、レオナルド・ディカプリオ(Hank)、ダイアン・キートン(Bessie)、ロバート・デ・ニーロ(Dr. Wally)
【prises】アカデミー賞1996年主演女優賞(ダイアン・キートン)ノミネート、ゴールデン・グローブ1996年女優賞・ドラマ(メリル・ストリープ)ノミネート
【prot】
 フロリダに住むベッシーは中年の未婚女性。寝たきりで認知症の父マーヴィンと、高齢の叔母ルースの面倒をみている。体調の不調でクリニックを訪れると、急性骨髄性白血病と診断される。
 一方、ベッシーの妹リーは、姉ベッシーと折り合いが悪く、20年も連絡をとっていない。リーは、男の子2人を養い美容師をめざし勉強中。長男のハンクは母親に反抗的、自宅に放火し、更正施設に入れられてしまう。
 リーのもとに、ベッシーから骨髄移植のための検査依頼の電話がかかる。ベッシーは、息子二人を連れて、20年ぶりにフロリダに帰る…
【my appraise】★★★(3 per5)
 芸達者な役者をこれだけ集めた割には、肩すかしをくらったような気がします。デ・ニーロが脇役の医師で登場するのですが、脇役の割には存在感があったりするのもマイナス。ディカプリオが一番、素直で良い演技をしているように思いました。
【staffs】
 この映画は、『ギルバートグレープ』『ロミオとジュリエット』『タイタニック』というディカプリオの出世作の間に挟まれて、やや忘れられがちですが(そうでもないか?)、大スターの共演の中で、思春期特有のメンタリティをきちんと演じきっています。最近より、この頃の方が、ぐっと上手かった気がするのですが…。
 ディカプリオはご存知のように(ご存知でないかもしれませんが)、ゲイにも人気が高い俳優ですが、この頃のレオ様は、ゲイの心をも惹きつけるような色気があるように思います。

 メリル・ストリープとダイアン・キートン、ダイアンの方が3歳年上とはいえ、同じ世代。デビューの時期、デビュー早々評価され以降輝かしく長い芸歴、知的な役柄を演じ、私生活も知的で才能豊か、その一方、多彩な男性遍歴…と、一致するところが多いですね。
 ということで、お二人の若い頃の写真を掲載させて頂きました。デニーロは、メリル・スリープとは『ディアハンター』、ダイアンキートンとは『ゴッドファーザー2』と、二人の出世作に共演しており、この映画にも、なにやら因縁めいたものを感じます。もっとも、『ゴッドファーザー2』では、ダイアンキートンとデニーロは全くからんでいませんが。

【medical view】
 骨髄移植の場合、白血球(免疫T細胞)の血液型の一致することが重要になります。
 よく、兄弟姉妹だと一致率が4分の1だということが書かれているのでご存知だろうと思います。
(TBW:白血球の型(HLA 型)の説明と、甥や姪の場合のHLA型一致確率、難病の子どものために子どもをつくることの倫理的な意味について、書くつもりです)


【tilte, subtilte】

【books】
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★★
 DVDレンタルがリリースされています。オスカーで主要部門にノミネートされた比較的最近の作品ですし、大物俳優がたくさん出ていることもあり、多くのショップに置いてあります。

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by harufe | 2005-08-06 12:09 | ICD C00-D48新生物

ラストコンサート Dedicato a una Stella / THE LAST CONCERT (1976 / Ita, Jpn)

 C95 細胞型不明の白血病

【copy】
だれかに生きる勇気を与えたとき、天使って涙を流すのですね…


【staffs】監督・脚本:ルイジ・コッツィ、製作:オヴィディオ・G・アソニティス、古川勝美、音楽:ステルヴィオ・チプリアーニ
出演:リチャード・ジョンソン(Richard)、パメラ・ヴィロレージ(Stella)、リカルド・クッチョーラ(Stella's Father)、マリア・アントニエッタ(Simone)
【prises】(not worth mentioning)
【prot】
 フランスブルターニュの病院で、白血病で死期が近い少女と、落ちぶれたピアニストが出会う。少女は父を求めるが叶わず、ピアニストは、往年の夢に再起する…。
【my appraise】★★(2 per5)
 う~ん。30年前はさておき、さすがに、今これをみるとしんどいです。筋は素直で嫌いではないのですけど、時代と共に擦りきれているというのは、このことだと思いますが、特に音楽は聴くに耐えません。こんな音楽で作曲家の夢を追いかけるなんて…と、冷え冷えとします。
 そころで、なぜイタリア映画がフランスで撮影されて英語でしゃべっているのだろうか。しかも日本とイタリア共同製作って?
 南仏の映像は、大変きれいです…。
【staffs】
 パメラ・ヴィロレージって、今の基準からいうと、ちょっと厳しくないでしょうか。『スターウォーズ』のレイア姫もそうでしたが、この頃はこういうルックスが好まれたのでしょうね。そういえば、『コーマ』のジュヌヴィエーヴ・ビジョルドもそんな感じですね。特にパメラ・ヴィロレージは、メイクのせいか、随分、年齢が高く見えるような場面があります。

【medical view】
 この頃は、まだ、白血病は不治の病であったということですね。はい。それだけです。
【tilte, subtilte】

【books】
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★
 最近DVDがレンタルになりました。ネットレンタルショップを利用しましょう。そこまでして見る映画じゃないですが。

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by harufe | 2005-07-25 14:19 | ICD C00-D48新生物

愛の選択 Dying young – The Choice of Love (1991/US)

C95.9 白血病,詳細不明
【copy】
涙が枯れても、あなたを愛し続けたい。


【staffs】監督:ジョエル・シューマカー、原作 : Marti Leimback マーティ・ラインバック
出演:ジュリア・ロバーツ(Hillary O'neil)、キャンベル・スコット(Victor Geddes)、ヴィンセント・ドノフリオ(Gordon)、コリーン・デューハースト(Estelle Whittier)、デイヴィッド・セルビー(Richard Geddes)、エレン・バースティン(Mrs. O'Neil)
【prises】第1回MTVムービー・アワード女優賞(ジュリア・ロバーツ)ノミネート、 ブレイクスルー演技賞 キャンベル・スコットノミネート、魅惑的な女優賞(ジュリア・ロバーツ)ノミネート
【my appraise】★★★(3 per5)
【prot】
 恋人に裏切られて実家に戻ったばかりのヒラリー、新聞広告で高額の住み込み看護のアルバイトを見つける。豪邸での面接試験で一旦は断られたが、患者本人ビクターに気に入られ、彼の看病のためにその豪邸に住み込むことになる。白血病とその治療の副作用に苦しむビクターを看病する日々が始まる…。
【impression】
 白血病で苦しんでいる方々には大変申し訳ないですが、映画の素材としては使い古された素材。それを、キャンベル・スコットとジュリアロバーツが命を吹き込んでいる…それ以上でもなければ、それ以下でもない映画です。
【staffs】
 「貧乏だけど本音で溌剌と生きる」という役回りは、ジュリアロバーツの真骨頂、彼女を超える女優は少ないですね。この映画でもその役回りですが、いつものコメディのテイストが皆無なところで、評価が分かれるかもしれません。少なくとも、この映画での彼女の演技は、アメリカでは視聴者の人気投票で決まるMTVムービー・アワードで、ノミネートされるなど、高く評価されたようです。ただ、この頃は、まだ、『プリティ・ウーマン』人気の余波かもしれませんけれどね。この頃から、5~6年は彼女の低迷期と言われていますし。
 私は、どちらかといえば、『オーシャン11』のようなセレブな役のジュリアが好きなのですが(私の好みなんぞ、どうでも良いですが)。

【medical view】
 薬物療法と骨髄移植の導入によって、白血病が不治の病でなくなった今、薬物療法の苦しみや、骨髄移植を巡る複雑な問題が、映画の素材として扱われることがあります。
 この映画は、薬物療法の苦しみを伝える代表的な作品といえるでしょう。
【tilte, subtilte】
 副題の方だけを直訳した邦題。ありそうで、他に思いつかないのですが、他にもありますよね、きっと。

【books】
原作の和訳がありますが、現在絶版です。
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★★
 DVDが発売されていますし、ジュリアロバーツものですから、多くのショップに置いてあると思います。

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by harufe | 2005-07-21 12:31 | ICD C00-D48新生物

スウィート・ノベンバー (2001/US)

 C85 非ホジキンリンパ腫の詳細不明の型

【staffs】監督:パット・オコナー
出演:キアヌ・リーヴス(Nelson)、シャーリーズ・セロン(Sara)、ジェイソン・アイザックス(Chaz)、グレッグ・ジャーマン(Vince)、リーアム・エイケン(Abner)
【prises】第22回ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)ワースト主演女優賞(シャーリーズ・セロン)ノミネート、ワースト・リメイク・続編賞ノミネート
【my appraise】★★★-(3 minus per5)
【prot】
 サンフランシスコの広告代理店で常にトップを走るネルソンが、ある日、自動車免許の更新試験場で風変わりで魅力的な女性サラに出会う。しかし、試験中にネルソンがサラに話しかけたことにより、サラは1か月免許更新ができなくなり、サラは、半ば強引にネルソンに、11月の1か月間だけの恋人になることを迫る。
 しかし、サラの奇妙な魅力と強引さは、悪性リンパ腫により残された命が短いことを知り、そして、想い出に残ることを意識したものだったのだ。
1968年のロバート・エリス・ミラー監督「今宵かぎりの恋」をリメイク。
【impression】
 残された命が短いことを知った女性が、最愛の男性に出会う、というプロットは、『オータムインニューヨーク』、ちょと古いですが『ラストコンサート』などがあります。残念ながら、いずれも、やや無理のある設定や展開が多く、よほど感情移入できない限り、ついていけない場合が多いように思います。
 この映画でも、ネルソンとサラが知り合う場面-免許更新試験場で試験中にネルソンがサラに話しかける-からして無理を感じました。無理無理な設定や展開と、ハリウッドのメインストリームとは違う繊細さが共存している作品で、嫌いではないのですが。
 ラジー賞は、何もシャリーズ・セロンをノミネートしなくても良いと思うのですが…。
【staffs】
 シャーリーズ・セロン、先頃、『モンスター』で見事オスカーを射止めました。しかし、『モンスター』の演技はすごかった。『サイダーハウスルール』で注目されながら、この映画でラジー賞にノミネートされて女優生命が危機かと思いましたが。
 最近ではサスペンス・アクション物(『モンスター』もそうですが)の出演が多いですが、正統なラブストーリーものでも、相当高い水準の演技ができる俳優さんだと思います。この映画でラジー賞にノミネートされたことが、トラウマになったかもしれませんが。

【medical view】
 若くしてガンで死ぬということは、大変辛いものがあると思いますが、以前、千葉敦子さん(ジャーナリスト。39歳で乳がん発症、自分のがんとの闘いをルポしつづけ、47歳で死亡。)が、「がんになったことで、死に向かってきちんと準備が進められ、より生の意味を明確に意識できるようになった。この意味で、がんになって良かったと思う。」といった趣旨を書いておられ、なるほどな、と思ったことがあります。
 この映画では、設定や展開、あるいは内面が十分描かれていないため、今ひとつリアリティがないのは残念ですが、サラが死を意識し、死ぬまでの期間をどう意味づけしようとしています。生活スタイルを全く変えて、人の心に遺るゲームを楽しむ…という生き方は相当、「強い」生き方だと思います。
 一方で、若くして死を迎えることは本人にとって本当に辛いことですが、残される方の悲しみも計り知れないものがあるでしょう。この映画でも、その当たりをもう少し描けたのではないかと思います。

 さて、サラの病気は、リンパ球のがんである、悪性リンパ腫。悪性リンパ腫といっても、様々な原因と経過があり、おそらく異なる病気の集まりと考えた方が良いようです。ただ、とりあえず、ホジキン病という種類の悪性リンパ腫だけは、1つの疾病単位であることが明確になっており、悪性リンパ腫については、ホジキン病か、非ホジキン病かということが大きな分類となります。もっとも、ホジキン病も、非ホジキン病も、患者側にとては、治療法も経過も、そう大きな違いはあるとはいえません。化学療法が比較的よく効き、寛解(症状は収まるが、再発を繰り返す場合があるため、治癒という表現は使わない)しやすい、放射線療法や骨髄移植が必要な場合がある…というがんです。
 ところで、非ホジキンリンパ腫の中には、ウイルス感染によって起きるものもあります。HTLV(成人T歳病白血病ウイルス)を原因とするリンパ腫がそれであり、感染者は世界に約2000万人以上いるとされています。HTLVには2つの型があるのですが、1型は、日本、特に九州、沖縄、四国に患者が多い原因ウイルスです。このウイルスは、エイズのウイルス(HIV)の仲間で、エイズと同様、極めて感染力の弱いのが特徴です。具体的には、母乳、性交渉(男→女のみ)、輸血によってしか感染しません。また、感染しても発病率が数%以下といわれ、しかも、発病までの潜伏期間は数十年と長いのです。そのため、発症は60~70歳が中心であり、そもそも自分が感染していても、気づいていない人も多いということになります。したがって、自分が感染者かどうか知って、少なくとも、他人に感染させないようにするというのが重要です。詳しくは、STD研究所さんのページを参照下さい。

 実は、エイズがHTLVではないか、あるいは類似のウイルスではないかと考えられた(実際、似たウイルスなのですが)ことが、少なくとも日本の関係者を安心させ(そうなると、血友病治療に比較すると、重要性がかなり低くなるため)、これが、対策を後手に回らせた…という証言があります。きちんとした、資料に書かれていることを読んだことはないのですが、さもありそうな(そして、関係者を責めにくい)ことと思います。このことは、エイズ関係の映画のところで、再度触れたいと思っています(エイズについては、書くべきことも、映画も多く、構成に悩んでいるため、先送りしております)。

 いずれにしても、サラは非ホジキン病の悪性リンパ腫ですが、おそらく、HTLV-1を原因とするものではないでしょうね(単に年齢だけでそう考えているわけですが)。

【tilte, subtilte】
 このタイトル、「オータムインニューヨーク」をどの程度意識したのでしょうね。

【books】
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★★
 DVDがセル・レンタルともにリリースされています。新しい作品ですので、多くのショップに置いてあると思います。

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by harufe | 2005-07-18 12:06 | ICD C00-D48新生物

阿弥陀堂だより(2002/Jpn)

C81.9 Hodgkin病,詳細不明
F41.0 パニック障害
【copy】
いつの間にか、
遠くを見ることを
忘れていました

【staffs】監督:小泉堯史、原作:南木佳士、脚色:小泉堯史、撮影: 上田正治、音楽: 加古隆
出演:寺尾聰(上田孝夫)樋口可南子(上田美智子)、北林谷栄(おうめ婆さん)、田村高廣(幸田重長)、香川京子(幸田ヨネ)、井川比佐志(助役)、吉岡秀隆(中村医師)、小西真奈美(小百合)、塩屋洋子(田辺)、内藤安彦(村長)
【prises】
第26回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞(北林谷栄)、新人俳優賞(小西真奈美)、優秀作品賞、優秀監督賞、優秀主演男優賞(寺尾聰)、優秀主演女優賞(樋口可南子)、優秀脚本賞、優秀撮影賞、優秀照明賞、優秀編集賞、優秀録音賞、優秀美術賞、優秀音楽賞受賞
第57回毎日映画コンクール日本映画優秀賞、音楽賞受賞
第45回ブルーリボン賞新人賞(小西真奈美)受賞
第76回キネマ旬報日本映画ベスト・テン第7位、日本映画助演女優賞(北林谷栄)、日本映画新人女優賞(小西真奈美)受賞、
【my appraise】★★(2 per5)
【prot】
 信州の田舎に、東京から中年の夫婦が越してくる。夫は、10年前に新人賞をとったまま、最近ではペンをとることも少ない売れない作家。妻は、東京で、優秀な医師として活躍していたが、パニック障害を患い、夫婦は、妻の病気の癒しを求め、夫の田舎での生活を始めたのだ。
 妻は無医村のこの村で、週に3回の診療を始める。村の死者を祭る阿弥陀堂に住むおうめ婆さん、肉腫と闘う少女小百合、そして末期のがんを自然体で受け止め身辺を清らかにする幸田先生、彼らとの交わりと信州の自然が、妻の心を次第にほぐしていく…。
【impression】
 原作の高みを知ると、この映画に高い評価はしかねます。脇を固める北林谷栄と小西真奈美がレベルの高い演技をしているというのに、如何せん、主役2名が、演ずる人格を理解しているとは思えない。演技と離れても、樋口がエルメスのバックを常に手放さず、ロイヤルコペンハーゲンの陶器を使い、時計はシャネル、洋服は常に23区(これはスポンサーの関係だろうが)…これがどれだけ設定を踏みにじっていることか。「くつろぎ」「憩い」「癒し」といったイメージ・言葉だけが先行し、それを安易に映像化しようとする短絡が残念だ。
 田舎の生活や人間のリアリティを無視して、都会人の憩いの場の1側面だけを切り出そうとする…そういった安易さをカリカチュアしているのか、あるいはアフォリズムというのであれば、理解可能だが。
【staffs】
 小西は、映画はこれがデビューということですが、もともと「つかこうへい」の舞台出身、2004年は野田英樹の舞台にも登場するなど、舞台の仕事を大切にしているようです。というだけあって、演技が実にしっかりしています。舞台出身者が苦手としているような、細かい表情や質感の表現は、むしろしっかりこなしているのにも感心します。
 テレビの雑な仕事に染まらないで、大女優に成長してもらいたいところです。といっても、日本には受け皿がないのかな。

【medical view】
 小百合(小西真奈美)の「肉腫」がなんなのか、映画にも書かれていませんし、原作にも具体的な病名は書かれていません。ただ、原作者の南木氏は呼吸器科の医師で、専門ががんですので、当然、彼の頭の中で設定はして、文章にはしていないだけと思われます。映画・原作では、喉が原発、一度寛解して、肺に再発、しかも珍しい肉腫で、美智子(樋口可南子)が中村医師(吉岡秀隆)に指導する、その自信が美智子を解していくというという設定です。、こういう設定ですと、リンパ肉腫の中でもホジキン病ということになるのでしょうか。化学療法がよく効き、比較的治りやすいがんの1つですが、日本では珍しいということです。リチャード・ハリスがこの病気でお亡くなりになりましたね。
 美智子の病気は、パニック障害。身体的にはなんら異常がないにもかかわらず、駅など、人の多い場所で、強い不安に襲われる、実際、心臓が速く打ち、胸が痛くなり、からだがふるえ汗をかく場合もあります。不安が不安を呼び、死んでしまうのではないか苦しくなる。息苦しく感じ、過呼吸状態におちいると実際に意識を失って倒れてしまう場合もあります(血中酸素濃度は高すぎても、低すぎても人体に害があり意識を失う)。この病気のことを、原作者の南木氏のエッセイを読むと、彼は、最近になって独立した疾患として認められたというニュアンスで理解なさっているようですが、それは誤解であって、極めて古典的な病気です。古くは不安神経症という疾病で分類されており、いくら呼吸器が専門とはいえ、精神科の教科書をちょっと読めば出てくる頻度の高い疾患ですし、医師国家試験だって出題されるのに、この誤解は解せません。ただ、DSMやICDでは、パニック発作を起こす「パニック障害(恐慌性障害)」と漠然とした不安の状態の「全般性不安障害」とを区別しています。さらに、こういった状態が特定の対象と結びついた時(乗り物とか、駅とか、会社とか、学校とか、他人とか)、「恐怖性不安障害」とします。ただ、これら3つはは同じ患者さんの症状の別の側面の場合が多く、いまだに不安神経症という疾病概念で良いような気がしています。ちなみに、映画ではほとんど症状の表現が無い(少なくともパニック発作の履歴はない)ようですから、全般性不安障害に分類すべきかもしれませんし、原作を読むと乗り物恐怖から発症しているようですので、恐怖性不安障害に分類すべきかもしれません。しかし、やっぱり、1つの病気の異なる側面でしかないんので、この分類に大きな意味は認められないです。
 本人にとって辛いのは、症状だけでなく、周囲が「体に異常がないのに騒ぎすぎ」といった対応をする場合があることです。薬は比較的よく効きますが、薬だけで完全に良くなることは少ないです。また、以前、どこかでパニック障害の患者さんには、身体的な基礎疾患(治療の必要性のない不整脈や喘息既往など)が多いとの論文を読んだことがあります(確かBr J Psychiatだと思うが出てこない)。精神面のアプローチだけでなく、身体面のアプローチ・フォローをすることが治療上有効(少なくとも、精神的には)ではないかと思ったりします。
 原作の作者の南木佳士さんは、もともと秋田大医卒のドクター、長野県佐久総合病院に勤務しておられましたが、病棟回診中に、突然、激しい動悸とめまいに襲われ、このまま死ぬのではないかという不安発作を起こしたようです。南木佳士氏の小説には、自身を細分化して、再構成することが多いが、原作もその側面が強いようですね。
【tilte, subtilte】

【books】
 原作『阿弥陀堂だより』はお薦めです。映画を見て感動するくらいの方は、是非、原作をお読み下さい。映画の底の浅さが分かると思います。やや説教臭いのですが。
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★★
 最近の映画でレンタルDVDもリリースされていますので、ほとんどのショップに置いてあります。

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by harufe | 2005-07-14 13:15 | ICD C00-D48新生物

生きる (1952/Jpn)

C16 胃の悪性新生物

【staffs】監督:黒澤明、
出演:志村喬(渡邊勘治)、金子信雄(渡邊光男)、関京子(渡邊一枝)、小堀誠(渡邊喜一)、浦辺粂子(渡邊たつ)、南美江(家政婦)、小田切みき(小田切とよ)、藤原釜足(大野)、山田巳之助(齋藤)、田中春男(坂井)、左卜全(小原)、千秋実(野口)、日守新一(木村)、中村伸郎 (助役)
【prises】
ベルリン国際映画祭ドイツ上院陪審賞(黒澤明)受賞、1952年キネマ旬報ベストテン1位、英国アカデミー賞1959年男優賞・国外(志村喬)ノミネート
【my appraise】★★★+(3 plus per5)
【prot】
 シャーカステンに映し出される胃がんのレントゲンフィルム。これは、真面目だけが取り柄の市役所市民課長渡邊のものだった。その渡邉が、偶然、自分が胃がんであることを知った時、彼はその絶望をどう受け止めたのか…。
【impression】
 レントゲンフィルムで語りが始まるというのは、今も古くない斬新さで良いですね。
 2005年6月22日米誌タイムは、同誌が選んだ「ベスト映画100本」を発表しました。その中に、日本映画の中から選ばれたのが、本作「生きる」、小津「東京物語」(1953)、溝口「雨月物語」(1953)、黒沢「用心棒」(1961)でした。しかも、「生きる」は50年代の最高傑作に選ばれており、海外での評価の高さを改めて認識しました。
 黒澤のベスト1に押す人も多い映画ですが、黒澤自身は余り気に入っていなかったそうです。実は、私も余り傑作だとは思っていませんでしたが、ある程度歳をとってみると、良さが分かるようになった気がします。
 「東京物語」と同様、この時代に、家族というものの幻想を明確に描いていたのは卓越していると思います。
【staffs】
 市民課長渡邊が腑抜けのようになって、部下小田切とよと夜遊びをする当たりが、情けなくて、可笑しくて、哀しくて、一番良い場面だと思います。特に美人でもなくて、貧乏だけど、元気で少々コケットリーを感じさせつつも、現実的な若い女性がうまく描かれています。
 小田切みきは、これがデビュー作なんですね。

【medical view】
 今は昔、の気がしますが、少なくとも日本には、本人には絶対がんを告知しない時代がありました。がんが、不治の病であり、知らせることが本人を絶望に追い込むだけだ、と考えられていたからでしょう。がんセンターが出来たるとき、「患者が自分ががんだと分かるような病院に誰が行くんだ」ということを言う人がいたそうですが、今から考えると、ちょっと嘘のようです。
 この映画は、そういった時代につくられ、医師が告知しなかったにもかかわらず、医師や看護師の噂話を偶然、渡辺が立ち聞いてしまう、というところからお話がスタートします。
 告知に関する考え方が変わってきたのは、1つには、「知ること」や自己選択に関する国民の意識の変化があります。また別の面からは、がんが治療できる病気になってきたこと、更にいえば、化学療法など患者本人の理解と同意なしに、進めることが困難な治療法が多く開発されたことがあります。現在、多くの医療機関では、100%本人告知に努めようとしていますが(AERA2004/11/29号によれば、72病院中59病院が、原則的に「100%する」「なるべくする」としている)、これは、医療機関が患者の権利に対する意識が高まったというだけでなく、穿った見方をすれば、告知や説明義務に関する訴訟の結果や、外科的療法や化学療法を積極的に進めたい医療機関の都合も少なからず入っているといえます。
 ただ、現在でも、告知に対して躊躇する気持ちは、少なくとも家族側には強く残っています。新聞の世論調査等でも、8割近くの方が自分ががんだったら告知して欲しいというのに対して、家族に対しては、半数も告知しない意向を示しています。
 さて、では、なぜ、家族が告知に躊躇しているか。国立がんセンターのマニュアルでは、「患者は気が小さいから自殺をするかもしれない」という考え」と書いていますが、これは少々表層的であると思います。
 というのも、自分の家族のことを心底大切に思っている人ばかりではないからです。逆にいえば、互いに好きでもなければ、尊重もしていない家族は少なくありません。その場合、身内が「かん」などになって、色々愚痴愚痴言われるのが面倒だと思っています。もちろん、自殺されるのも色々面倒ですが、それより、その人の日常を世話する上で、「自分は死ぬんだから」と思われていると面倒だと思うのです。それは、「生きる」だけではなく、「東京物語」でも描かれている家族の葛藤です。
 病気の家族をかいがいしく看病する家族像というのは、医療側の幻想です。
 もちろん、かいがいしく看病する家族がいないといっているわけではありません。自分の幼い子どもが、がんの場合などは、当然、親身になって看病するでしょう。しかし、自分の親や配偶者の場合は、冷淡な場合が少なくないのです。
 医療従事者は、「家族が患者を嫌い」という構図を嫌います。目をそらしているといっても良いかもしれません。かいがいしく看病する家族を「良い家族」、そうでない家族を「悪い家族」と決めつけます。確かに、良い・悪いで分ければ、正しいのでしょう。ただ、医療従事者が「良い」「悪い」とみるのは、往々にして自分たちの都合に「良い」「悪い」の観点が入っています。医療従事者がよく重症な状態にある入院患者の家族に対して言う「可哀想だから、ついていてあげてくださいね」の、「可哀想だから」は実は自分たちにも向けられているのです。
 国立がんセンターのマニュアルでは、「「告げるか、告げないか」という議論をする段階ではもはやなく、「如何に事実を伝え、その後どのように患者に対応し援助していくか」」、「家族には先に知らせない」のが原則である」などと、患者側の立場にたったことを書いていますが、看病の重荷を負う家族の立場は犠牲は余り考慮しない、そして、これが、実は、自分たちのとって都合の態度であるということも、医療者としては認識しておくべきでしょう。
 だから、家族の立場にたって告知はしないほうが良い、と言っているのではありません。患者と家族の関係が往々にして対立構造にあり、その際、医療者として、「どちらの立場にたっており、その結果が何をもたらしているか」について、常に敏感であってほしいということです。
 そもそも、「患者は気が小さい」というような表現を伝聞調とはいえマニュアルに記載するのは、心配りが雑に感じます。「患者には、それを自分で受け止めることができず」くらいに変えられないものでしょうか。もちろん、英語論文の方の表現のニュアンスはきちんと伝えるにしてもです。

 さて、それでは、今、実際どの程度、本人に告知しているかということですが、がんの進行度や治療可能性にもよるでしょうが、おおむね5割くらいではないでしょうか(調査や研究を探しているところです)。アメリカではほぼ100%、欧州でも南欧は比較的低めで日本と同程度と聞いたことがあり、やはり、個人より家族の都合が優先するラテン系=カソリックの国だなあと思ったことがあります。

 ところで、この映画で扱われている「胃がん」は、わが国では代表的ながんの1つで、減少傾向にあるとはいえ、つい最近まで罹患率も死亡率もわが国の第1位のがんでした。ということもあって、わが国では、胃がん検診は、がん検診の中でも最も早く発達しました。
 しかし、胃がんの少ない欧米では、日本で行われているような胃エックス線写真のスクリーニングの効果は否定されて実施されていません。宇宙飛行士のスクリーニングにも欧米では取り入れられておらず、日本人宇宙飛行士だけ取り入れられています(と昔聞いたことがあります)。
 とくに「落ち」はないのですが、とりあえずトリビアということで。


【videos, DVDs入手しやすさ】★★★★
 DVDレンタルが出ていますが、比較的最近リリースされたため、ビデオしか置いていないショップも多いです。白黒映像の美しさは、DVDでないと味わえないと思いますので、是非DVDをお探し下さい。

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by harufe | 2005-07-13 20:24 | ICD C00-D48新生物

オータムインニューヨーク (2000/US)

C38.3 縦隔神経芽腫

【copy】
シャーロット、22歳。彼女に残されたのはわずか一年という命。

「恋をしたい。今すぐ」
「なぜ?」

【staffs】監督 : Joan Chen 陳冲 ジョアン・チェン
リチャード・ギア(Will)、ウィノナ・ライダー(Charlotte Fielding)、エレーン・ストリッチ(Dolly)、アンソニー・ラパグリア(John)、ジル・ヘネシー(Lynn)、メアリー・ベス・ハート(Dr.Sibley)、シェリー・ストリングフィールド(サラ)、ヴェラ・ファーミガ(リサ)
【prises】第21回ラジー賞(ゴールデン・ラズベリー賞)ワースト・スクリーン・カップル賞ノミネート
【my appraise】★★★-(3 minus per5)
【prot】
ニューヨークのセントラルパークで高級レストランを経営するウィルは、ハンサムでリッチだが、独身で女癖の悪い48歳の男性。彼は自分の経営するレストランで22歳の誕生日を祝うシャーロットと出会う。自然に結ばれる二人だったが、シャーロットはこの年齢では珍しい神経芽腫で余命1年と告げられていた…。
【impression】
 ラジー賞にノミネートされているように、悪評の高い恋愛映画。ニューヨークの秋からクリスマスの美しさに説得力があるのに、二人の愛に説得力が弱い。
 個人的には酷評するほどではないと思うし、こういうこともあると思うのだが、リチャードギアとウィノナライダーの悪い部分が見えてくるような映画ではある。
【staffs】
 線が細く中性的で、それでいて、女性的な魅力に満ちたウイノナライダーは、余命僅かの女性を演ずるのには適しているように思います。万引き事件の判決後、2003年にはマークジェイコブスのモデルのオファー…というニュースがありましたが、それ以降、全く姿を消してしまいましたね。もう33歳なんですねえ。
 「ER 緊急救命室」のスーザン・ルイス(シェリー・ストリングフィールド)が、ちょい役で出ています。

【medical view】
 神経芽(細胞)腫は、悪性腫瘍(がん)の1つで、神経系の1つ交感神経におきるがんです。交感神経に起こるがんですので、体中どこからでも発生し得ますが、副腎から発生する場合が多いようです。小児のがんで、白血病を除くと最も発生が多いものです。1歳以下特に生後6か月以下で発見すると、予後が良いのですが、2歳を過ぎると死亡率の高いがんです(おそらくは、一定年齢後の神経芽腫は、生まれて間もない神経芽腫と種類が違うものだろうとされています)。多くは、骨髄に転移して痛みや貧血で気づかれることが多いようです。
 1歳未満の神経芽腫は予後が良くマススクリーニングの方法が開発されていたことから、日本では1984年から生後6~7か月の全乳児を対象に検診が行われてきました。ところが、1歳未満の神経芽腫は放置しておいて自然治癒する例も少なくなく、早期に発見して治療に対する苦痛もあり、そもそも神経芽細胞腫検診が死亡率を減少させているかどうかもはっきりしていませんでした。そこで、2003年に国の研究会で、有効性が確認されるまで休止すべきという報告が出され、2004年に廃止されました。
 どうもわが国では、健康診断や検診が好きな国民性があり、「良さそう」というだけで、どんどんやられる傾向にありましたが、それが見直される機運にあります。それはそれで良いことなのですが、きちんとした評価体制や仕組みがないところで、思いついたように、国が厚生科学研究費で研究班を立ち上げて検討するというのでは、一抹の不安があります。お金はかかりますが、常設の評価機関や、アメリカのように議会併設の技術評価機関などが必要なのではないでしょうか。

 さて、話は戻ります、上述の通り、神経芽腫は子どものがんで、シャーロットのように、20歳前後で、しかも縦隔(胸腔内で左右肺の間)に発症するのはとても珍しいといえます。その上、末期とはいえ、元気にセックスするなど、残された期間を十分満喫しており、こういうこともあるものなのでしょうか…という感じではあります。
 ところで、この映画のポイントは、シャーロットが余命1年と告げられ、外科的手術の方法はあるがそれは主治医が強く進めておらず、シャーロット自身も手術拒否の書類にサインしていることです(延命(挿管)拒否でもないのに、手術拒否というサインがあるのは、骨髄転移で貧血を起こし意識を失い、その場で緊急手術をすることが考えられるからでしょうか?)。しかし、本人の意志にもかかわらず、知り合ったばかりの恋人が、手を尽くそうとします。ただ、大変難しい手術らしく、どの医師にも断られ続け、ようやくクリーブランドからわざわざ天才的な外科医Dr. Tom Grandyを探し出すのです(実際に探し出したのは、別居していた娘ですが)。
 「安らかに天寿を全うする」か、「チャレンジして助かる可能性にかけるかわりに、苦痛と命を縮めるリスクをとる」かを、選ぶということは難しいことです。なにしろ、助かる可能性がどの程度で、助かるといっても何がどのくらい助かるのか、苦痛がどのくらいか、命がどの程度縮まる確率なのか…これが分かったとしても難しいのに、多くは分からない、せいぜい確率的にこの程度という子どもだましの数字があるくらい(いくら、EBM、EBMと言っても、同じ状態であらゆる面から同じ属性の患者のエビデンスなど普通は存在しないのですし、サラのような珍しい症例では特にそうです)。
 これを簡単に「チャレンジしよう」というのは、やはり、恋人のエゴなんですけど、エゴが言えるくらい愛しているという言い方があるかもしれません。

 ちなみに、日本だと、こうやって別の病院の名医を探し出したり、来てもらったりすると、ろくなことはないですが(これまで大学病院が教育を担ってきたため、大学病院ごとに系列や人間関係が出来上がっているため、大なり小なり面倒がられたり、シコリが残る)、アメリカではこういったことは決して珍しくないと思いますし、誰も気分を害しないはずです。
 もう1つついでに「ちなみに」ですが、Dr. Tom Grandyは、ハーバード卒後、コロンビア医科大を卒業し、Cleveland Health Center 勤務という設定なっています。Cleveland Health Centerとは、おそらく、クリーブランドクリニックの心臓専門センター(Heart Center)と思われます。クリーブランドクリニックは、世界的に超一流の病院として知られ、日本でも有名だと思いますが、それを裏付けるように、U.S. News & World Report (全米で最も信頼される医療機関のランキングを毎年発表している)の2005年で総合4位(1位はジョンズホプキンス病院)で、なかでも、HEART AND HEART SURGERY部門では1位の病院です。ウィルが「オハイオか!」みたいなことを言っていますが、恋人のことを真剣に想って調べていれば、クリーブランドクリニックが最高の病院だってことが分かっているはず。クリーブランドクリニックの心臓・心臓外科部門は、専門医師による調査でも70.1%も支持されていますし、ニューヨーク近郊だと、5位のマサチューセッツ総合病院、6位ブリガム&ウィメンズ病院(いずれも、ハーバード大系でボストンにある)、7位ニューヨーク・プレスビタリアン大学病院とあるけど、いずれも支持率が、24.1%、21.1%、20.7%と段違いなんだから…。しかも、遠いといっても、同じ東部で、直線距離で500km。東京-札幌より近い。

 さて、話を戻しますが、一番不思議なのは、Dr. Tom Grandyが、「次に倒れて意識が回復しないようだったら、私を呼ぶように」という指示を出すことです。直線距離でも500kmを超えるだろうに、いくらすぐヘリコプターでかけつけても、連絡もらって手術まで2時間はかかる、そんなもので良いのかしら?と考えてしまいます。動かせないような状態ではないのだから、すぐにでもクリーブランドにシャーロットを運べば?と思います。
 ここは穿った見方をすると、伸るか反るかの大手術、成功する確率も低く、成功しない限り命を縮めることは間違いない。…と考えて、最後の最後に手術をもってくる(本当にそんなことがありうるのか、全く分かりませんが、なにしろ、あのクリーブランドクリニックですから)。
 だとすれば、問題ないのです。選択肢は、「意識不明のまま安らかに死ぬ」か、「意識不明になったあと最後のチャレンジをする」か、どちらかだからです。

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by harufe | 2005-07-12 12:36 | ICD C00-D48新生物

天国の青い蝶 The Blue Butterfly (2004 /Cnd)

C71 脳の悪性新生物

【copy】
世界で一番美しい神秘の蝶に会いたい。
余命わずかな少年に残された
たった一つの最後の願いが 奇跡を起こす。

キラキラと輝く青い天使が、
ちいさな心に舞い降りた。

【staffs】レア・プール監督
ウィリアム・ハート(アラン・オズボーン)、パスカル・ブシェール(テレサ・カールトン)、マーク・ドネイト(ピート・カールトン)、ラオール・トゥルヒロ(アレホ)
【prises】(not worth mentioning)
【my appraise】★★★(per5)
【prot】
 余命数ヶ月と宣告された末期の脳腫瘍の少年。彼は、病から、車いすを使う状態であるが、奇跡の青い蝶に憧れ、それを紹介した昆虫学者に懇願し、コスタ・リカの熱帯雨林へと出かける…。
 1987年にカナダで起きた実話をもとに、コスタ・リカの美しい映像を女性監督の感性で捉える。
【impression】
 悲劇の方が「感動モノ」にして映画にはしやすいのだと思いますが、この監督の感性でうまくとっています。ただ、こういった映画でこういう演技をしがちな、ウイリアム・ハートに辟易する方はいるかもしれません。
 この映画は、モデルとなった昆虫学者(愛好家?)のジョウジュ・プロッサールに言わせれば、80%は実話とのこと(映画パンフレットより)。
【staffs】
 「母が病気の息子を想う」というタイプの映画の中では、際だって母親を美しく描いた作品と想います。普通、女性の前に母親であるという人間像で描きがちですが、この映画ではお母さんが、とても艶っぽくて素敵です。パスカル・ブシェールの魅力なのか、監督が女性の感性なのかは分かりませんが…。
 →パスカル・ブシェール、この写真も素敵ですが、上の写真のような普通っぽいのも良いですね。彼女は、カナダの映画(特にフランス語映画)を中心に活動しており、今年、カナダのアカデミー賞といわれるジニー賞で主演女優賞(「Ma vie en cinemascope」)を受賞しています。もっと、英語圏の映画でも活躍して欲しいところです。
【tilte, subtilte】

【medical view】
 末期がんの少年ピートには《奇跡》が起こり快方へと向かったことになっていますが、実際にピートのモデルとなったダビット・マランジェさんも奇跡的に治癒したそうです。映画が日本で封切られた時点では22歳で、この映画が日本で上映するに当たって、来日なさっています。
 奇跡ってあるんですよね。勇気づけられますね。…としか、言いようがないですね。こういうのを、変に説明しようとすると、かえっていかがわしいか(希望による免疫機構がどうしたこうした…とか)、夢が無くなる(誤診だったとか…)のでやめておくべきですよね。
 ただ、医療側は、悪くなって死を迎える人は確実にフォローしますが、奇跡的に回復して病院に来なくなった人はフォローしていない場合も多い。これは、「医者の悲観的な感覚」を形成しているだけでなく、統計をとっても同じ傾向になる可能性が高い。つまり、どんな悲惨なことを宣告されても、少なくとも医療側の感覚よりは、現実は、若干楽観的な可能性があります。だから、現代医学以外の治療法もトライしてみるべき…とは思わないです。ただ、現在の治療の妨げにならないのであれば、医師も、患者・家族の気が済むように何かやるのにトライすることは止めることはしないでしょう。
【books】
 ノベライズが発表されています。
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★★
 DVDもビデオもレンタル&セルでリリースされています。最近の作品なので、ほとんどのショップに置いてあると思います。

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by harufe | 2005-07-06 16:10 | ICD C00-D48新生物

マイライフ My life(1993/US)

C64 腎盂を除く腎の悪性新生物

【staffs】ブルース・ジョエル・ルービン監督
マイケル・キートン(Bob James)、ニコール・キッドマン(Gale Jones)、ハイン・S・ニョール(Healor Ho)
【prises】(not worth mentioning)
【my appraise】★★★-(3 minus per5)
【prot】
 若くして成功し、ロスで広告代理店を経営しているボブは、腎臓がんが全身転移し、余命数ヶ月と主治医に告げられている。そして、彼は、愛する美しい妻と彼女のお腹の中の子どもを残し、死を迎えざるを得ない運命を受け入れようとしている。
そのボブは、妻にすすめられ嫌々訪れた東洋医で、不思議な体験をし、彼の中にある「怒り」を指摘される。彼の心の旅は、自分の幼少時へと向かう…。
【impression】
 俳優の力で、どうにでもなるプロット。
 マイケル・キートンも悪くないが、もう少しなんとかしようがある気もする。ニコール・キッドマンは、美しし、上手いが、映画に力を与えるまでにはなっていない。
 「バッドマン」で売り出したばかりのマイケル・キートンと、「遙かなる大地」「デイズオブサンダー」でトム・クルーズとの共演で注目されて売り出し中のニコール・キッドマンの共演だったが、売り出し中の力は伝わってこない。
 黒澤明「生きる」よりは、内面を描こうとして、「生きる」よりも、内面を描けていない作品。結局、家庭や家族への期待や希望を無くした方が、より真実に迫られるということか。

【medical view】
 以前、ある介護関連のセミナー(参加者は高齢者の介護職がほとんど)で、講演者が、「みなさん死ぬとしたら、①がん、②ぼけ、③寝たきりのうち、どれが良いですか」と聞いたところ、①と②で半々で、③の方は誰もいませんでした。ちなみに、私も①か②で、どちらかといえば②です。とはいえ、この結果、実は、私には結構ショックでした。一般には、がんやぼけは相当恐れられているような認識があって、③の人が圧倒的に多いと思っていたからです。この結果は、回答者が専門職だからなのか、それとも一般の方の認識もそうなのかは分かりませんが。
 私が①や②が良いと思うのは、②の方は「何も分からなくなればかえって幸せ」という考え方ですし、①の方は死ぬまでの準備ができるからという考え方です。①については、千葉敦子さんの著書から相当影響を受けています(千葉敦子さんは、1980年代に、乳がんであることを宣言して、その闘病を自らレポートしたジャーナリスト。いまでは、がん宣言もめずらしくないですが、千葉さんが嚆矢といって良いでしょう。)。

 一般には、死を迎える上での精神的なプロセスとして、故キューブラロス(スイス出身の方で、フランス風に「クベールロス」と呼ぶのが粋。「ライフオブデビットゲイル」でもフランス語読みしていましたね。)の「否認と隔離」→「怒り」→「取引」→「抑うつ」→「受容」の5段階は余りに有名です。この段階通り進むのか、とか、この段階全て経過するのか、とか、色々な意見はあります。また、ロス自身が死を迎えた際に、往生際が悪かったらしく、その評価を下げている面はあるようです。ただ、死を迎える人の精神世界を理解するキーワードとしては、今なお有効と思います。
 この映画では、死を受容し、平静に死に向けた準備をするかにみえる主人公が描かれています。しかし、実際には、彼の内面では死を受容できておらず、それが、彼が幼少期からの怒りを自分の中に抑え込んできたことが明らかにされていきます。それを明らかにする手助けをするのが、東洋のヒーラーということで、まあ、「ありがち」な設定ではあります。

 ボブのがんは、原発の腎臓がんという以外の情報は映画から得られませんが、おそらく腎細胞がんでしょう。腎細胞がんは、遺伝・遺伝子の関与が大きいと考えられており、腎細胞がん多発家系が知られています。遺伝子解析も進んでおり、家系内発生を予測できるレベルにはなっています。遺伝子診断、遺伝子治療に最も近いところにあるがんの1つということでしょうか。ただ、たばこや脂肪摂取量や長期透析が危険因子となっており、少なくとも遺伝だけで説明できるがんではありません。
 エコーで比較的みつけやすいがんですし(1cm未満でも8割見つけられるそうです)、最大径5cmくらいで転移がなければ外科治療成績が良いようですから、人間ドックでエコーをやるのは重要ですね。
【tilte, subtilte】
 英語のタイトルも素直なら、邦題もそのまま。少なくとも、日本語で「マイライフ」となると、陳腐すぎて、損している気がする(クリントンをどうしても思い出してしまう)。しかし、だかといって、副題をつけるのも何だし、「遺された愛」なんてタイトルつけられてもいやだし、難しいものですね。

【books】
 近藤裕さんが「心を癒すシネマセラピー 映画が教えてくれる生き方のヒント」の中で1章をもうけて、この映画を解説しておられます。
【videos, DVDsの入手しやすさ】★
 残念ながらレンタルはビデオのみ。セルはありません。ビデオを置いているショップも多くないようです。

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by harufe | 2005-06-26 11:34 | ICD C00-D48新生物