カテゴリ:ICD C00-D48新生物( 12 )

ある愛の詩: A love story(1970/US)

C95.1 細胞型不明の慢性白血病

【staffs】監督 :アーサー・ヒラー、脚本: エリック・シーガル、音楽:フランシス・レイ
出演: アリ・マッグロー(Jenny)、ライアン・オニール(Oliver)、レイ・ミランド(Oliver's Father)、John Marley ジョン・マーレイ(Jenny's Father)
【prises】
第43回アカデミー賞主演男優賞(ライアン・オニール)ノミネート、主演女優賞(アリ・マッグロー)ノミネート、助演男優賞(ジョン・マーレー)ノミネート、オリジナル脚本賞()ノミネート、作曲賞()受賞、
【my appraise】★★(2er5)
【prot】
 大富豪の家に生まれながら父親と葛藤する法学生のオリバー。イタリア系移民の家庭で父親に大切に育てられ、バロック音楽と父親を愛す女子大生のジェニー。境遇の異なる二人が惹かれ合い、オリバーの父の反対を押し切って結婚する。
 オリバーは法科大学院卒後弁護士として嘱望され、二人には輝かしい未来が開けてきていた。しかし、ジェニーは突然の白血病の病魔に襲われる…。
【impression】
 原作の小説も、そして映画の興行成績も歴史を塗り替える大ヒットだったいうことですから、時代と共に風化するとは、こういうことなのか…というのが正直な感想です。
 この映画が公開された1970年は、ニューシネマ全盛で、純愛に対する一種の不信感があった時代。しかし、大衆は純愛に飢えていた…なんていう見方があるようです(「70年代アメリカン・シネマ103 もっともエキサイティングだった13年」フィルムアート社)が、私としては、「俺たちに明日はない」はもちろん、「ファイブ・イージー・ピーセズ」だって、純愛映画だし、もっと言えば、ヌーベルバーグの「勝手にしやがれ」や「突然炎のごとく」なんて大純愛映画だと思うので、こうした見方には反対です。
 単に、こういうシンプルなストーリーっていうのは、忘れた頃にやってくるということなんではないでしょうか。
 それにしても、この映画の続編があり、オリバーが新しい恋を見つけるというのは、いかがなもんでしょうか(見てないのですけど)。
【staffs】
 この映画は、主演のアリ・マッグローが自分の大学時代の友人のエリック・シーガルの脚本を売り込んだことがきっかけになっているようです。アリ・マッグローは、73年スティーブマックイーンと結婚し、その後、離婚したようです。いかにも70年代を象徴するような女性ですね。
 レイ・ミランドがかつらなしで登場しています。頑張っているのに、助演男優賞にノミネートされたのは、ジョン・マーレーの方でした。

【medical view】
 白血病という病気は、他のがんに比較して若年層が罹患しやすく、しかも、以前は全く治療法が無かったため、悲劇の病気として、映画や小説の題材となってきました(「ラストコンサート」「ジョーイ」「ラブ・ストーリーを君に」「オータム・ストーリー」など)。
 最近では、化学療法や骨髄移植などの効果的な治療法が実施されています。特に化学療法による画期的な進歩は、がん治療の歴史にとって特筆できるものと思われます(この点については、日本白血病基金のHPを参照下さい
しかし、治療によって白血病が完全に克服されたわけではありません。また、化学療法が強い苦痛を伴うことから、「愛の選択」「ママ、泣かないで」といった映画が創られていますし、移植を巡る複雑な関係から、ヒューマンドラマ(「マイルーム」)、サスペンス(「絶体×絶命」)やミステリー(「半落ち」)や法定映画(「レイン・メーカー」)などが、今なお、次々と生まれています。
 これほど映画や小説のテーマになる病気は他にはありません。一時期、エイズに関する映画・小説が増加しましたが、今は下火です。患者さんや家族の方には、有り難いこととはいえないと思いますが。
【tilte, subtilte】
 素直なタイトル。素直な邦題。

【books】
【videos, DVDs入手しやすさ】★★★
 レンタルDVDが最近リリースされましたが、置いてあるショップは少ないようです。

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by harufe | 2005-06-21 10:44 | ICD C00-D48新生物

ドクター :The Doctor(1991/米)

C32 喉頭の悪性新生物

【staffs】監督: ランダ・ヘインズ、製作: ローラ・ジスキン、製作総指揮: エドワード・S・フェルドマン、脚本: ロバート・キャスウェル、撮影: ジョン・シール、音楽: マイケル・コンヴェルティーノ、美術: ケン・アダム、編集: ブルース・グリーン、リサ・フラックマン、衣装: ジョーIトンプキンス
出演: ウィリアム・ハート(Jack Mackee)、クリスティン・ラーティ(Anne Mackee)、エリザベス・パーキンス(June Ellis)、マンディ・パティンキン(Dr. Murray Caplan)、アダム・アーキン(Dr. Eli Blumfield)
【prises】(not worth mentioning)
【my appraise】★★★(3per5)
【prot】
 ドクター・ジャック・マッキーは、大病院に勤務する胸部外科医。腕が良く、豪邸、高級車、そして家族と、全てに恵まれている。
 そんな彼は喉の変調を覚え、喉頭癌が発見される。患者になって初めて味わう不安と病院への不信。妻アンとの関係もちぐはぐになり、心を許せるのは脳腫瘍で同じ放射線治療を受ける患者のジューンだけ。周りの風景が変わっていくジャック…。
【impression】
 医療映画というと、まっさきにあげる人が多い作品です。
 古い医学教育では、医師が患者に感情移入すると、冷静な判断や治療が行えないということで、否定されていた時代もあるようです。しかし、とくに近年の医学教育では、いかに患者の心情に配慮するかが、重要になっています。
 この映画は、そういった時代背景もあったのでしょうか、いくら技術があっても患者に配慮できない医者は、一流とはいえない…というlessonを伝えているようです。

 ただ、私は、そういう安直な見方をしてこの映画を評価する気持ちにはなれません。
 医療従事者、特に、医師が患者の立場に立つというのは、言うのは簡単ですが、実際には難しい。むしろ、患者の立場に立てると考えるのは、傲慢であるという気もします。どんなに患者の心にケアして、患者の心情や立場に近づくことはできたとしても、必ず一定の距離があるように思います。職業としての「医師」である限り、やはり技術としての「共感」があってしかるべきだと思います。
 言い方を変えると、「患者になってはじめて「患者の気持ちが分かった」などと言わないような医学教育」というのはありえないような気がします。むしろ、医師は、「本当は患者にならないと分からないメンタリティというものはあるんだろうな…」くらいの気持ちをどこかに置いて、患者に配慮すべきではないかと思うのです。 それが、患者の尊厳を大切にすることのような気がします。
 さて、そういった面でこの映画をみると、主人公ジャックが病を得て、それまでの医師としての態度を改めるのは結構なことですが、回復後の彼の態度には「分かった気になりすぎ」とやや鼻白む場面もあります。
 作品全体もなかなかよくできていると思いますが、お話がきれいすぎて、予定調和過ぎる気もしました。ジャックの妻のメンタリティーや、夫婦関係が感情移入しにくいのも難でしょうか。
【staffs】
 医療モノでは、ロビン・ウィリアムス共に、最多出場を誇る(当ブログ比)ウイリアム・ハートが患者となる脳外科医を演じています。ウイリアム・ハートと違って、善人役を演じても、どこか人間くささや傲慢さが残っているのが、この俳優の良さ(と勝手に思っている)ですが、この映画では少々善人になりすぎです。ウイリアム・ハートによる、ウイリアム・ハートらしい演技が鼻につくかたもいるでしょう。
 この映画の後に、TVドラマ『シカゴ・ホープ』で脳外科医を演じることになるアダム・アーキンが、耳鼻咽喉科医で登場し、愚直で誠実な医師を演じています。それから、ウイリアム・ハートの奥さんアン役で出ていたクリスティン・ラーティは、これまた『シカゴ・ホープ』で外科部長の椅子を狙う女医キャスリンで第2シーズン以降は主役を演じています(98年ゴールデングローブ「テレビシリーズ最優秀主演女優賞」、エミー賞「ドラマシリーズ最優秀主演女優賞」をもらっています)。どちらも、この映画とシカゴホープでは、同じような性格的を演じているところが笑えます。

 脳腫瘍の患者ジューン役のエリザベス・パーキンスは、最近、アメリカ版『リング2』にも出ています。

【medical view】
 ジューンは保険の関係でMRIを使えなかったことが、脳腫瘍発見を遅らせたという設定になっています。
 日本では、診療報酬制度のfee for service下で、MRIの台数がやたら多くて問題視されますが、普通の先進国では高額な検査として、EBMで必要性が高いときに限定される傾向があるようです。
 そういえば、ラース・フォン・トリアーのTVドラマ「キングダム」でも、高額のMRI検査はすべきでないという話がありましたし、「ER」でもしょっちゅう出てきます。
 医療費が世界で最も安い国の1つの日本で、MRIが使い放題というのも、ややこしいところです。この当たりの解説は長くなるので、この程度にしておきます。
 映画の最後で、マッキーが自分のレジデントに患者の模擬体験をさせますが、それで患者の不安を理解できると考えるのは、相当安直です。ただ、こういう安直さというのは、かえって、「外科医が思いつきでやりそうなこと」という展で、リアリティがありますね。
 なお、この映画は、村上陽一郎氏以外にも、医師の米山公啓氏、小倉恒子氏など、多くの人が医療映画として自著で触れ、評価しています。
 私自身は、上に書いているように、それほどの映画とも思わないのですが。
【tilte, subtilte】
 素直なタイトル。素直な邦題。

【books】
 E・E・ローゼンバウムの原作が和訳されていましたが、現在絶版のようです。
 直接本作品とは関係ないですが、脳外科医として最も油の乗りきった年齢で、悪性グリオブラストーマ(最も悪性度の高い脳腫瘍)に罹患した岩田隆信氏(昭和大学脳外科助教授(当時))の闘病記『 医者が末期がん患者になってわかったこと ある脳外科医が脳腫瘍と闘った凄絶な日々 』(角川文庫/630円)が、心を打ちます。この闘病記には、岩田氏の元患者の方も多く手記を載せておられ、岩田氏が、患者本位で患者に慕われる医師であったことを伺わせます。そういった岩田氏が患者の側に立ったら…という視点から読んでみてはいかがでしょうか。
【videos, DVDs】
 レンタルビデオがリリースされていますが、置いてあるショップは少ないようです。新宿ツタヤのヒューマンドキュメンタリーコーナーで見つけました。
 DVDが2004年9月に発売されたのですが、まだレンタルにはなっていないようです。

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by harufe | 2004-12-29 10:34 | ICD C00-D48新生物